ChatGPTとは?
ChatGPTとは、OpenAI社が開発したAI(人工知能)チャットボットです。下記では、ChatGPTとOpenAI社について詳しく紹介します。
ChatGPTとはAI搭載のチャットボットサービス
ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIが開発・運営する生成AIチャットボットサービスです。従来のAIチャットボットに使用されていた大規模言語モデルでは、テキストの処理と生成のみが可能でした。しかし、ChatGPTはマルチモーダルAIとなっており、会話型ユーザーインターフェース(CUI)を通じて画像認識や生成、音声会話、そしてリアルタイムでのインターネット検索が行うことができます。
OpenAIは、開発者がチャットボットのAPIsにアクセスする際の使用料と、2種類の有料サブスクリプションを通じてChatGPTを収益化しています。また、開発者が様々なプログラミングスキルを活かせるように、OpenAIは直感的に使える「アシスタントAPI」というドラッグ & ドロップツールを提供しており、ローコードやノーコードの開発者でも自分専用のチャットボットを簡単に作成し、OpenAIのGPTストアで共有や販売することができます。
ChatGPTは現在、200万人以上の開発者と1億人以上の週間アクティブユーザーを抱え、フォーチュン500にランクインする企業の92%以上で利用されています。また、人工知能(AI)の責任ある使用を担保するため、AIエンジニアと自動監視システムがユーザーのプロンプトとモデルの出力を常にチェックしています。さらに、ユーザーデータのプライバシーを守るため、OpenAI側の許可がない限り、ChatGPT上の会話はモデルの訓練に使用されない仕組みとなっています。
OpenAIとは
ChatGPTは、OpenAIという人工知能(AI)研究所によって作成されました。このOpenAIは、営利企業であるOpenAI LPとその非営利の親会社であるOpenAI Inc.によって構成されています。
OpenAIのミッションは、汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすようにすることであり、現在のOpenAIチームは、AI研究者やエンジニア、大規模な言語モデルの開発に取り組む多種多様な経歴を持つ専門家グループによって構成されています。
現在は、グレッグ・ブロックマンが会長、イリヤ・スツケヴァーがチーフサイエンティストを務め、サム・アルトマンが現在CEOとして指揮を執っています。
イーロン・マスクもOpenAIの共同創設者の一人でしたが、2018年に理事会を辞任し、現在は自身のスタートアップであるx.AIで、Grokという新しいチャットボットの開発に取り組んでいます。
ChatGPTの仕組み
ChatGPTはコンテンツを処理し生成する際、「トークン」と呼ばれる小さな単位を使用します。この方法により、ChatGPTのニューラルネットワーク技術が、長さ不定のテキストを扱いやすい一定サイズの入力データへと変換する方法を実現しました。
ChatGPTは新しいプロンプトを受け取ると、そのプロンプトを一連の「トークン」に分割します。その後、これらのトークン群を分析して、パターンや関連性を見つけ出し、モデルが訓練データで学習したパターンや関連性と比較します。
GPTは、Transformerアーキテクチャに基づいています。「Attention Is All You Need」と題された研究論文で初めて紹介されたこの技術は、その後の多くの自然言語処理(NLP)技術の基礎となっています。
Transformerアーキテクチャでは、「自己注意」というメカニズムを用いて、テキスト内の遠く離れた要素間の関連性を把握し、トークン間の重要性を評価します。この処理は並列に行われ、異なる重み付けをされたデータが生成されます。
その後、データは結合され、線形変換された後、最終的なトークン出力を生成します。このように、学習データに統計的に類似しているが完全に同一ではないトークンを生成することがAIモデルの最終目標となっています。
このタイプのディープラーニング(深層学習)は非常に迅速で、学習データのパターンや関連性に類似した回答を数ミリ秒で生成することができます。
ChatGPTに使用されている学習方法
OpenAIは、ChatGPTを作るために、膨大なデータを集める専用のWebクローリングツール「GPTBot」を開発しました。ChatGPTの訓練学習では、「人間のフィードバックからの強化学習(RLHF)」という、教師あり学習と強化学習を組み合わせた比較的新しい手法が取り入れられました。
学習過程では、人間がGPTモデルと対話を行い、実際の会話のようにAIとやりとりすることで、モデルに正しい反応を教えます。その後、これらの対話データを元の学習データと統合し、新たなデータセットを用いてモデルの反応を細かく調整します。
この訓練段階で、モデルは与えられたプロンプトに対して複数の回答を生み出し、人間がそれらの回答を品質と関連性に基づいてランク付けします。
モデルは、ランク付けされたデータとPPO(Proximal Policy Optimization)アルゴリズムを使って、一部の応答が他の応答よりも高くランク付けされた理由と、今後のやり取りでどのように高評価の反応を選ぶべきかを学習します。
PPOは、現在のポリシーと目標ポリシーの2つを訓練することで機能します。現在のポリシーは回答を生成するために、目標ポリシーは現在のポリシーを評価するために使われます。アルゴリズムの役割は、現在のポリシーを目標ポリシーに近づけるよう更新することです。
PPOは実装が比較的簡単で、ユーザーからのフィードバックを学習に取り入れ、複雑な環境での意思決定を最適化するのに効果的なアルゴリズムです。
ChatGPTの料金体系
GPT-3.5のブラウザ版は現在無料で使用できます。また、AndroidおよびiOSデバイス用のOpenAIのモバイルアプリも無料です。しかし、ChatGPTの一部プランは有料になります。
- ChatGPT Plus – 頻繁に使用し、ピーク時にも迅速な回答がほしい方におすすめの有料プランです。このプランは月額20ドルで、ピークの時間帯でも確実にChatGPTを利用できる保証、より速い回答、新機能への優先アクセスが特典として付いてきます。
- ChatGPT Enterprise – ビジネス向けの有料プランです。このプランは、インターネットへのアクセス機能が付いており、顧客対応やサービスの質向上に利用されています。月額300ドルで、ChatGPT Plusと同様の特典に加え、専任の技術サポートやビジネスユーザー向けに特別設計されたプロンプトエンジニアリングのテンプレートへのアクセスが提供されます。
- 従量課金性API – OpenAIでは、ChatGPTを利用するための従量課金制APIも提供しています。このAPIを通じて、開発者はプロンプトを送信し、プログラムによってChatGPTモデルから回答を受け取ることができます。APIを使用すれば、ChatGPTの会話型機能を自身のアプリやサービスに統合することが可能です。使用料金はAPIの呼び出し回数に基づきます。GPT-4 TurboのAPIは、現在開発者が実行するのに最安値のモデルです。
ChatGPTの始め方
ChatGPTは、Webブラウザ、ブラウザの拡張機能、モバイルアプリ、そして一部の外部アプリケーションのAPIを通じて無料で利用できます。
ブラウザ版ChatGPTでは、ユーザーがチャットの履歴やアカウント設定にアクセスできるようになっています。一方で、モバイル版には音声チャット、リアルタイムでのウェブ検索、画像認識機能が搭載されています。
ウェブブラウザ:chat.openai.comにアクセスしてアカウントを作成します。ログイン後、プロンプトを入力し、画面上の「メッセージ送信」ボタンをクリックするだけです。ChatGPTからの回答には、「再生成」ボタンや評価アイコンがついており、これによりフィードバックを提供できます。フィードバックは今後の回答の質を向上させるのに役立ちます。
モバイルアプリ:Google PlayストアやApple App StoreからChatGPTの公式アプリをインストールします。公式アプリは、最新のブラウザ版と同様の機能に加え、会話型インターフェース(CUI)を備えています。
プラグイン:ChatGPTのブラウザプラグイン(拡張機能)を利用するには、ChromeウェブストアやFirefoxのアドオンストアで「ChatGPT」を検索し、インストールします。インストール後は、ブラウザのツールバーに表示されるChatGPTのアイコンをクリックし、任意のウェブページから直接質問できます。
GPT Plus:ChatGPT-3.5とChatGPT-4へのアクセスを保証したい個人向けの有料プランです。より速いアクセスや新機能の先行利用が必要な個人向けの有料プランで、月額20ドルで利用できます。ChatGPTの最新機能を試したい場合や、ピークタイムでもスムーズに利用したい方に最適です。
ChatGPT Enterprise:ビジネス向けに設計された有料プランで、高度なセキュリティやリスク管理機能など、ビジネスニーズに合わせた高度な機能が提供されます。特徴は以下の通りです。
- API統合
- シングルサインオン(SSO)およびAIドメイン検証
- 従業員が安全かつ一貫性を保ったままChatGPTを使用できるようにするカスタマイズ可能なテンプレート
- 企業が傾向を把握し、レポート用コンテンツを生成するのに役立つ高度なデータ分析機能と管理ダッシュボード
GPT API:OpenAIでは、開発者がChatGPTのAPIを利用してリクエストを送信し、回答を得る方法と、モデル出力のランダム性を制御する「温度」というパラメータを調整する方法について、詳しいガイドを用意しています。
オフラインアクセス:ChatGPTをオフラインで使用できる公開スクリプトがあります。通常、ユーザーはChatGPTモデルを自分のコンピュータにダウンロードし、大規模言語モデルを動かすことが必要になります。
ChatGPTは何ができる?
続いては、ChatGPTが具体的に何ができるのかを活用事例を交えて解説していきます。
ChatGPTができること
ChatGPTモデルはまだ開発途中ですが、すでにネットユーザー、ビジネスマン、クリエイティブ職の人々に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。
現在、ChatGPTは次のように使用できます。
- 質問に回答する
- 与えられたテキストまたはフレーズを完成させる
- フィクションおよびノンフィクションコンテンツのアウトラインを作成する
- プロンプトからフィクションおよびノンフィクションの短編コンテンツを生成する
- 様々な口調でユーザーからのプロンプトに回答する
- 感情を分析する
- 一つの言語から別の言語へ翻訳する
- 計算を行う
- プログラミングコードを生成し、既存のコードのバグを修正する
- 与えられたテキストを要約する
- 与えられたテキストの事実確認を行う
- 与えられたテキストをより正確で簡潔にする
- 与えられたテキストの情報を異なるカテゴリに分類する
- テキストを表に整理する
- スプレッドシート内のデータの使用方法、分析方法、または要約方法に関する提案をする
- 表または比較チャートのHTMLを生成する
- ウェブページのボタン、チェックボックス、入力フォーム用のHTMLを生成する
- SEO(検索エンジン最適化)用のキーワードとそれに関連するロングテールキーワードを提供する
- 音声で会話を行う
- インターネットを検索する
- 画像について議論する
ChatGPTの活用事例
ChatGPTのような生成モデルが、新しい領域やビジネスシーンで幅広く活用されています。ここでは、個人や企業がChatGPTをどのように利用しているかの具体的な活用事例をいくつか紹介します。
- コンテンツ制作 – 一部の作家は、ChatGPTを活用してコンテンツを作成したり、新たなアイデアのブレインストーミングに使ったり、執筆した内容のブラッシュアップに使ったりしています。使用には賛否両論ありますが、メリットがデメリットを上回ると考える人が多いのが現状です。
- 教育・学習 – 教育関係者や学生が、研究ツールやライティングの補助としてChatGPTを使っています。
- プログラミング支援 – 開発者は、コードの一部を生成したり、アジャイル開発の効率を上げるために、ChatGPTをプログラミングのアシスタントとして使用しています。
- カスタマーサポート – コールセンターでは、ChatGPTを導入して顧客からの問い合わせに対応し、年中無休でサポートを提供しています。
- エンターテインメント – ソフトウェア開発者が、新しいゲームのシナリオやキャラクター、そして物語を創出するためにChatGPTを使用しています
- 言語翻訳 – ChatGPTは、異なる言語間のテキスト翻訳をサポートします。ただし、応答の質は言語によって異なる場合があります。
- Eメール作成 – マイクロソフトが、Eメールの作成や編集を助けるために、OutlookにChatGPTを統合しています。
- マーケティング – マーケターは、Eメールメッセージのパーソナライズや顧客行動の分析にChatGPTを利用しています。
- 製造業 – 製造業者が、製品マニュアルの更新や従業員研修資料の作成にChatGPTを活用しています。ChatGPTは会話型ユーザーインターフェース(CUI)を持っているため、車載情報システムや制御システムなど様々な製品に組み込まれる可能性が高まっています。
- アクセシビリティ支援 – ChatGPTは、視覚、聴覚、運動、および認知障害を持つ個人にサポートを提供する支援技術として機能します。
- ブロックチェーン開発支援 – ChatGPTを使って、様々なプログラミング言語でスマートコントラクトを生成できます。自動取引システムの構築、ブロックチェーンデータの分析、特定の取引戦略に関するコード生成、そしてアプリケーションのカスタマーサポートをより簡単にします。
- オンラインセキュリティ – サイバーセキュリティ専門家が、フィッシングメールのパターン認識やログデータの要約にChatGPTを使用しています。
- ヘルスケア支援 – 医療従事者が、管理業務のアシスタントとしてChatGPTを利用しています。専門的な医療情報提供には代替できませんが、ChatGPTは、健康状態や治療法、薬に関する回答の検索ツールとしても人々に使用されています。
ChatGPTの歴史
ここからは、ChatGPTがどのようにして進化してきたのか、その歴史を辿りながら、最新版のChatGPTの特徴を探っていきます。
ChatGPTのリリース日
GPTシリーズの最初のモデルは2018年6月に登場しました。新しいバージョンが登場するたびに、性能、パフォーマンス、セキュリティ、プライバシー保護、拡張性の面で前のモデルを凌駕する改良が加えられています。
GPT-2:2019年2月、OpenAIはGPT-2を発表しましたが、悪用のリスクを懸念して当初は完全版の公開を見送りました。安全対策を施した後、同年11月には完全に訓練されたGPT-2モデルが公開されました。
GPT-3:2020年6月、GPT-3が導入されました。OpenAIは訓練済みのモデルを直接公開する代わりにAPIを通じてGPT-3へのアクセスを提供しました。GPT-3へのアクセス制御として採用された新たな方法であり、OpenAIは技術の利用をより管理しやすくしました。
GPT-3.5:2022年11月30日にはGPT-3.5がリリースされ、これまでのGPTバージョンから大きく進化しました。より自然で引き込まれる会話、複雑な問いに対する理解と反応、多様な文章スタイルとフォーマットの複製など、様々な新機能と改善が施されました。
GPT-4:2023年3月14日、GPT-4が公開されました。これは以前のバージョンよりも速く、複雑な問いに対して正確で情報量の多い回答を提供します。リアルタイムでのインターネット検索、画像プロンプトの受け入れ、音声会話など、新たな機能が追加されました。
GPT-4 Turbo:開発者向けに特化したGPT-4 Turboでは、一度のプロンプトで300ページ以上に相当するテキストを処理でき、2023年4月までの情報が含まれた拡張された知識量を搭載しています。
ChatGPT-3とChatGPT-4の違い
ChatGPT-4は、その前身であるChatGPT-3.5の後継モデルです。以下に、両者の主な違いを挙げます。
- サイズ:ChatGPT-4の基礎モデルは、ChatGPT-3やChatGPT-3.5で使われたモデルよりもはるかに大規模な言語モデルを使用しています。より多様な情報を処理し、長く複雑な回答を生成する能力が向上しました。
- 多様なモード:ChatGPT-3やChatGPT-3.5がテキストのみを扱えたのに対し、ChatGPT-4はテキスト、画像、音声を理解・処理・生成できます。(※最新機能は段階的に実装されているため、全てのユーザーやデバイスで利用できるわけではありません。)
- 正確さと流暢さ:より広範で多様なデータセットで訓練されたため、ChatGPT-4は以前のバージョンと比べて、間違った回答を生成する可能性が低くなっています。
ChatGPTの使い方
ChatGPTの具体的な使い方を解説します。プロンプトのコツだけでなく、生成された回答を正しく用いるポイントや回答をコピー&ペーストする際の注意点を解説していきます。
ChatGPTに入力するプロンプトの書き方
ChatGPTへの入力はプロンプトと呼ばれ、会話や質問の起点となり、どのように応答すべきか指示と文脈を与える役割を果たします。
効果的なChatGPTプロンプトを作成するためには、明確で、簡潔で、具体的な表現が求められます。
また、各プロンプトは、言語モデルが詳細かつ情報量の多い回答をアウトプットするために必要な量の情報を含んでいる必要があります。(※設定によっては、ChatGPTは同じセッション内での以前のやり取りを記憶し、会話の一貫性を保つことがあります。)
効果的なChatGPTプロンプトを書くためのヒントは以下の通りです。
- 正しい文章および文法を使うこと。これにより、ChatGPTがプロンプトを正しく理解し、より正確な回答を返すことができます。
- 長いプロンプトは複数のプロンプトに分け、短くシンプルにすること。
- 一貫性を保つために、プロンプトを論理的な順序で配置すること。
- 望む回答形式があれば、ChatGPTに伝えること。
- 望んだ回答が得られない場合は、再生成の機能を試すか、プロンプトを何度も修正して理想の答えに近づけること。
ChatGPTによる回答の使用方法
ChatGPTの回答は、AIモデルが学習過程で習得したパターンや関連性に完全に依存しており、実際に存在する情報に基づいていないことを理解しましょう。
以下では、ChatGPTからの回答を倫理的に、そして責任を持って利用するためのアドバイスを提供します。
- 回答をそのまま使わないこと。ChatGPTは文脈に即した出力を生成できますが、その回答が常に中立かつ正確であるとは限りません。
- 複数のプロンプトから得られた回答を論理的かつ一貫して組み合わせること。
- 組み合わせた回答を適宜編集すること。
- 編集した回答が事実に基づいているかを確認すること。
- ChatGPTを情報源として引用する際には、適切なガイドラインに従うこと。
ChatGPTの回答から灰色の背景を取り除く方法
キーボードショートカットでChatGPTの回答をコピーすると、回答フォーマットがそのままコピーされてしまい、灰色の背景も一緒にペーストされます。この灰色の背景を取り除くためには、各回答の上部にあるコピーアイコンを利用するか、プレーンテキストとして貼り付ける方法があります。以下に、プレーンテキストで貼り付ける際の基本的な手順を解説します。
Windowsでの操作:
- Ctrl + Cでテキストを通常通りコピーします。
- Ctrl + Shift + Vで貼り付けます。
- 2が使えない場合は、右クリックで「貼り付けオプション」を開き、「テキストのみを保持」を選択してフォーマットを取り除きます。
Macでの操作:
- Command + Cでテキストを通常通りコピーします。
- Shift + Option + Command + Vで貼り付けます。
- 2が使えない場合は、「編集」メニューから「スタイルに合わせて貼り付け」またはそれに類似するオプションを選択します。
ウェブブラウザやワードプロセッサでの操作:
- 通常どおりにコピーします。
- 右クリックでコンテキストメニューを開き、「プレーンテキストとして貼り付け」、「特別貼り付け」、「テキストのみを保持」、または「フォーマットなしで貼り付け」のオプションを探します。
上記のオプションが見つからない場合は、フォーマット非対応のテキストエディタ(例:メモ帳やTextEdit)にコピーしたテキストを貼り付けてください。その後、テキストエディタから貼り付けたテキストをコピーすると、ChatGPTの灰色背景も含む全てのフォーマットが除去されます。
ChatGPTを使うときの注意点
以下では、ChatGPTを使うときの注意点について解説します。ユーザーが注意すべき点は、以下の7点です。
- 倫理性
- 個人情報・機密情報の漏洩
- 著作権
- 回答の引用
- 性能の限界
- バイアス
- 人間や労働力の代替
ChatGPTと倫理性
ChatGPTの利用は倫理上、問題はありません。しかし、OpenAIのモデルを使う開発者や企業、個人はOpenAIの倫理に関する懸念事項をしっかりと理解すべきです。
- 懸念点1:OpenAIによれば、ChatGPTの学習に必要な情報を得るため、インターネット上に公開されている情報を巡回し、データを大量に収集しました。この方法でデータを集めることは法的に問題ありませんが、Webコンテンツ作成者の中には、OpenAIが学習データを得るためにもっと倫理的な手段があったのではと考える人もいます。また、そのデータの使用に対して補償を求めるWebコンテンツ作成者も増えています。
- 懸念点2:OpenAIは膨大な量の訓練データをどのようにラベリングしたかを明らかにしていません。しかし、ラベリングの多くを外注したことは認めています。おそらくAmazonのMechanical Turkのようなクラウドソーシング・プラットフォームを利用したものと考えられますが、Mechanical Turkは短期契約であり、健康手当がないうえに、時給が非常に低いため、その利用は物議を醸しています。
- 懸念点3:ChatGPTがOpenAIの倫理的基準に反して、有害な内容や誤解を招く情報を生成する可能性があります。これらの問題に対処するためには、政府と企業が政策を策定し、AI利用の新たなガイドラインを作成し、不正使用の悪影響を緩和する解決策を確立することが必要です。
ChatGPTと個人情報・機密情報
企業データの漏洩やプライバシーに関する懸念から、OpenAIはユーザーの提供情報を守るための方針を設けました。しかし、ChatGPTを安全に使えるかどうかは、状況によって異なります。
例えば、教育やコンテンツの作成、情報の収集などの目的であれば、基本的には安全でしょう。しかし、重要な判断に使うことには高いリスクが伴います。
また、健康や財務、法的な情報を得るためにChatGPTを利用する際は、専門家や信頼できる情報源に相談することが大切です。ChatGPTの回答が常に正確かつ最新とは限らないため、ユーザーはChatGPTの限界を理解し、返答を鵜呑みにしないようにしましょう。
ChatGPTと著作権
Chat GPTが生成した内容をそのまま活用する際は、ChatGPTの出典を明記し、剽窃リスクを避けることが大切です。ChatGPTが回答を生成する際に学習データに基づいた似たような内容を出力するため、剽窃チェックツールで問題と認識される可能性があるからです。
このような問題を防ぐため、ユーザーは生成された回答をAIによるコピーライティングツール(剽窃検出ツールを含む)で検証し、内容のオリジナリティを確かめるとともに、必要に応じて調整を加える必要があります。
ChatGPTの引用方法
ChatGPTは従来の出版物や人間の著者とは異なりますが、ChatGPTを検索エンジンとして扱い、得た回答を引用せずに利用することが徐々に受け入れられるようになっています。
しかし、研究論文や学術文脈でChatGPT-4などの情報源を引用する場合は、読者が情報源を確認できるようにすることが重要です。もし元の情報源を特定できない場合は、ChatGPTを参照ツールとして明記するべきでしょう。
ChatGPTを参照ツールとして引用する際の一例は以下の通りです。
ChatGPT [バージョン]、[アクセス日]、https://www.openai.com/
ChatGPTの限界
ChatGPTの限界を理解することも重要です。大前提として、ChatGPTは補助ツールとして利用するべきであり、絶対的な情報源として使うべきではないでしょう。ChatGPTが様々なチューリングテストをクリアしていると勘違いする人が多いですが、意識や感情を持っているわけではありません。
ユーザーはChatGPTから得られた情報を、信頼できる別の情報源で必ず確認しましょう。健康や財務といった領域においては特に意識すべきです。
ChatGPTとバイアス
ChatGPTのようなAIモデルは訓練データをもとに学習します。訓練データにバイアスが含まれている場合、ChatGPTもこれらのバイアスを取り込み、既存の先入観や不平等をさらに強化してしまう可能性があります。
AIモデルにおけるバイアスは、差別的な行動を引き起こし、法的な問題を招く可能性があります。そのため、ChatGPTを利用して不公平や差別を生じさせた場合、企業は訴訟や規制の対象となるリスクがあります。
OpenAIは、訓練データに内在するバイアスの問題を認識しており、ChatGPTモデルが悪影響を及ぼさないように対策に取り組んでいます。その取り組みは以下の通りです。
- 幅広い人間の知識を反映して、特定のバイアスを薄めるために、多様なデータセットを用いて訓練を行っている
- モデルの微調整段階で人間のレビュアーを活用し、特定の政治的グループを好むことや論争されるテーマに対して特定の立場をとることを避けるよう調整している
- モデルの出力を改善し、バイアスを最小化するために、人間のレビュアーとユーザー間で定期的なフィードバックのやり取りを行っている
- 透明性を重視し、モデルの挙動や展開戦略について外部からフィードバックを積極的に受け入れている
ChatGPTと人間の労働力の代替
ChatGPTのようなAI技術の進展は、過去にインターネットやその他の技術革新がもたらしたように、労働市場に大きな変化をもたらすと予想されています。技術の進化に伴って、求められるスキルのタイプにも変化が生じる可能性があります。
20 jobs that Chat GPT 4 will replace in the near future . Predicted by the AI itself . pic.twitter.com/wleOgij9E5
— Prashanth Rangaswamy (@itisprashanth) March 16, 2023
ChatGPTの導入と利用は、職種の変化、職務の拡充、新しい職種の創出など、様々な影響を及ぼすでしょう。しかし、これらの変化が労働市場に与える影響は、経済的、社会的、倫理的な選択に大きく左右されます。
AI技術が労働力とどのように融合するか、労働力の代替にどう対応するかを決定する上で、政策立案者、ビジネスリーダー、教育関係者が重要な役割を果たすと期待されています。また、未来の職業に備えるためには、継続的な学習やリスキリング、柔軟性が重要となるでしょう。
ChatGPTの競合・代替サービス
ChatGPTは、生成型AI技術における大規模言語モデル(LLM)の中で最も人気がありますが、他にも匹敵するモデルがあり、特定の需要や要望に応えるOpenAIのLLMに代わる新しいサービスが日々登場しています。ChatGPT-4に匹敵する注目の代替モデル・サービスは以下の通りです。
- Google Bard:Google AIが開発した大規模言語モデルで、ブラウザを通じてリアルタイムでインターネットにアクセスできます。Googleアカウントでログインすることで無料で利用可能です。
- Google Gemini:Google AIにより開発されている、大規模言語モデルの統合ソフトです。GoogleとAlphabetのCEO、スンダー・ピチャイによると、このソフトは多様な出力を可能にするためにゼロから設計されました。
- Llama 2:Facebookの親会社であるMetaのAIグループが提供する、オープンソースの大規模言語モデルです。長いプロンプトに対応するために特別に設計されたバージョンの大規模言語モデルであるLlama 2 Longもあります。
- Falcon 180B:アブダビのTechnology Innovation Institute(TII)によって開発された、1800億パラメータを持つ大規模言語モデルです。Falcon-180B TIIライセンスの下で、研究と商用利用のために無料で利用できます。
- Claude:研究会社Anthropicが開発した大規模言語モデルのチャットボットです。Anthropicの開発者コンソールのブラウザベースのチャットインターフェースまたはAPIを介してアクセスできます。
- Mistral 7B:Mistral AIによって開発された大規模言語モデルで、Apache 2.0ライセンスの下で研究および商業利用に無料提供されています。クラウドやローカル環境での実行が可能です。
- Vicuna 13B:研究会社LMSYSが開発した大規模言語モデルチャットボットで、GLUEベンチマークの基準を満たしていることで知られています。GLUEおよびSuperGLUEベンチマークは、様々なNLPモデルの性能を比較し、改善が必要な領域を特定するのに役立つ便利なツールです。
- Giraffe:大規模言語モデルの開発および商業化に焦点を当てた研究会社Abacus.AIからの大規模言語モデルです。自己注意メカニズムの代わりに、長文タスクに特別に設計されたゼロショット学習メカニズムを使用し、予測を行います。